遺言書について②
遺言書作成時に注意してほしい事
遺言書を作成する際に最もご注意頂きたいのは、
「独りで考えて作らない。」
事かと思います。
被相続人(遺産を残す立場の方)の一方的な想いだけで作成されますと
相続人とその親族等、更にその先の利害関係者等の思惑も相まって
「いっそのこと遺言書が無かった方が良かったのでは。」という事態を
引き起こすことになりかねません。
ご家族でしっかりと話し合ったうえで、皆様が納得された内容を遺言書に残す。
これが最も大事な事ではないかと思います。
では、一体どのような事に注意すべきなのでしょうか?
①できる限り不動産は共有名義にしない事
特にお子様と同居、又は同一敷地内にお子様の家も建っているような土地について、
複数のご遺族の共有名義にするという事はお奨めできません。
共有ですと、もしもその先に売却という事になった場合、共有者全員の意思が一つに
なりませんと売却は不可能です。
時期、売り方、売る相手、価格、その他付随する条件などなど
何か一つでも「いや、俺はその点だけは賛成できないね。」という共有者がいますと、
計画全体が全く前に進まなくなります。
また、例えば、その土地に同居でお住まいの長男と、他で家を買って同居していない次男が
2分の1ずつの共有になった場合、売却そのものの合意が得られたとしても、売却後の譲渡所得税が
3,000万円の特別控除等の適用可否によって大きく異なり、結果、半分ずつ分け合ったとしても
手取り額が大きく異なるというもめ事の種になりかねない事も起こり得ます。
そして、相続した兄弟がとても仲が良かったとしても、更にその先、兄弟に子供が2人ずついた場合、
兄弟他界後は、(奥様+子供×2)×2 = 6名の共有という事態が待ち受ける事となり、
子供が若いころから家を出て疎遠になっっていたりしますと意思の統一がままならなくなる危険も
ございます。
②遺留分も考慮する事
法定相続人が複数いた場合に、ある特定の相続人だけに資産の大半もしくは全部を譲る、
というような遺言書を残したとしても、他の法定相続人には遺留分を請求できる権利が残ります。
「遺留分」とは、簡単に言えば、被相続人の遺産について、法定相続人(※兄弟・姉妹は除く)
に対して保障される遺産取得分のことです。
遺留分を侵害された遺留分権利者は、侵害された遺留分相当の金銭の支払いを請求することができ、
正当な遺留分侵害額請求と認められた場合、請求を受けた者は支払いを拒むことはできません。
ですので、遺言書に記載しようとする内容について、ご家族に不満が無いか、あるならば徹底的に
話し合ったうえで作成することが望ましいかと思います。
また、お子様のいないご夫婦は、遺言書で「妻に全財産を相続させる。」と残して
おかれませんと、法定相続人は奥様とご兄弟という事になってしまい、
(ご両親は他界されているとして)奥様に全財産が遺せませんので、
奥様に全て遺したい場合には、遺言書はしっかりと書かれておくべきかと思います。
FCファームでできる事
遺言書作成サポートはもちろんの事、家族会議サポート等も承っておりますので、
お気軽に何なりとご相談頂ければと思います。