湯河原の物件調査で思うこと
エリアによって全然違う販売準備の所要時間
以前からお付き合い頂いている建築家のI先生から住み替えのご相談を
頂きました。今後の生活を考えて複数お持ちの不動産の整理も兼ねてのご計画です。
どの不動産をどのタイミングで処分するか等が難しく、各々固有の事情等も有り、
パズルを組み立てるように、なかなか簡単ではありませんが、そんな中でまず最初に
処分に踏み切ろうと一歩進めたのが、神奈川県湯河原町にお持ちの戸建でした。
ご自身の設計で10数年前に相当な労力とお金をかけてリノベーションされた戸建ですが、
現在は、地元の方にお貸ししてゲストハウスとして運営されており、
漁港が近く海が一望できるなかなかに風光明媚な立地です。
媒介契約締結後、販売開始の準備の為に物件調査を行って参りました。
まず、建物が相当古く、オンラインで取得した登記情報ですと、
建築年月日が不明だったため法務局で閉鎖謄本を取得する必要が有りました。
法務局は二宮という小田原の少し手前に有りましたので、田園調布を出発しまずは二宮まで。
ちなみに閉鎖謄本というのは登記事項のコンピューター化の際に古い情報迄の移行がされていないケースが多く、
各管轄の法務局に引き続き保管されている縦書きの古い登記簿謄本の写しを取得する必要が有り、
この昔謄本の事を言います。
オンライン化はされていないので、管轄の法務局迄足を運ばないと写しは頂けません。
閉鎖謄本を取得し、次は湯河原の町役場迄。
都市計画情報、道路台帳、水道下水道の配管図、
固定資産評価証明書の取得、防災関連の調査を行いました。
そして、本件では最も大事ともいえる建築基準法上の道路の種別と
最近建て替えたと見られる隣接地の建築計画概要書の取得の為
建築指導課を廻ろうとして、ハッと気が付きました。
以前箱根町の物件調査で箱根町役場に行った際に、
建築指導課は町役場では無く県の管轄なので松田町の県西土木事務所まで足を運んだことを思い出したのです。
念のため一応役場の方に伺いましたところ、やはり箱根町と同様の回答。
町役場を後にして、一気に松田町迄。
ちょうど梅まつり開催中で駅周辺はそこそこ人だかりが有り、
山の斜面を見上げると梅真っ盛りの美しい光景が望めましたが、寄り道することなくそのまま土木事務所まで。
前面道路は、台帳上未判定でしたので、そのまま調査を依頼しましたが、
問題は隣地の建築計画概要書。
台帳上は間違いなく平成16年に但し書き扱いで新築されたようなのですが、
肝心の概要書原本が「あってはならない事ですが紛失してしまったようで有りません。」
との事で内容の確認には至りませんでした。20数年の経験の中で「紛失しました」と言われたのは初めてです。。
こうして、無事に調査を終え、翌日SUUMOに掲載することができましたが、
改めて走行距離を確認しましたところ、
●法務局 → 湯河原町役場 約28km
●湯河原町役場 → 土木事務所 約33km
と調査だけで考えても片道60kmの行程でした。
ちなみに田園調布駅前の当社事務所から60kmってどのあたりかな。
と計ってみましたら、
・大磯ロングビーチ
・相模湖
・川越城
・手賀沼
・マザー牧場(+7km)
迄行けてしまいました。普段でしたら日常業務の範囲をはるかに超えております。
湯河原の不動産業者さん、いつもご苦労様です。
しかし、縦割り行政の是正か、情報の完全オンライン化を望んでいる不動産屋は私だけではない筈かと思った次第です。