売却相談。大手?地場業者?エージェント?③
元々の日本におけるエージェントとは(ソニー不動産が黒船だった頃)
10年少し前、ソニー不動産(当時)が「両手取引は利益相反、よって、売と買でエージェントを分ける。」という形で、(当時、何故か時期を同じくして、大手上位3社の「囲い込み」がひどいという週刊誌の記事が大々的に取りざたされたりしましたが。)鳴り物入りで業界に参入して参りました。私は、当時、業界最大手の会社で現場のマネージャーを務めておりましたので、「黒船来襲か!」という位の気持ちを持ち戦々恐々としておりましたのを覚えています。
そして、月日が経ち、その後どうなったか?
ソニー不動産は、SRE不動産と名を変え、今も存続しておりますが、業界をひっくり返す程の脅威では無い。というのが現在の状況です。(あくまでも現在の。です。)
そもそもエージェントとは「代理人」の事です。
「売主様の代理人として買い側との交渉を行います。」という片方の利益を最大限に考慮して動きます。という意味で「エージェント」だったのでしょう。
日本人は、従来、バチバチにやり会って交渉する国民性ではない事と、物件の事を一番よく知っているのは売主側仲介人なので、そこから買うのが安心のはず。という意識などが、この「エージェント制」が大爆発しなかった大きな理由ではないかと私は思っています。
エージェントって何?エージェントのよいところは?
一方で、現在増え続けている「エージェント」は少し意味合いが違っています。
お客様の代理人、というよりは、どちらかというと働き手の働き方について、
「エージェント」という呼称で差別化をするのと同時に、組織ブランドでの安心感は、
これからは崩れて行く。これからは、個人の営業力、説得力を前面に打ち出していく時代だ。
という考え方の元に「エージェント」という呼称での活動を行っている印象です。
では、まず「働き方」についてですが、エージェント募集広告を見ますと、
「出社不要(基本在宅)」「高い歩合率」「好きな時間に働いてください。」「副業可」と、
腕に自信の有る方が組織に縛られずに、そして高い収入を得るチャンスの元に働く形。
の事を「エージェント」と言っているようです。
高いスキルと人脈を持った営業マンが余計なストレスに無い環境で働ける、という事は
翻ってお客様の為にも最大限のパフォーマンスを発揮できる可能性も有りますので、
良い方向に考えればWINWINの形になる事は有るかと思います。
エージェントの懸念点
一方で懸念点ですが、不動産は契約して引き渡してしまえばそれでおしまい。というものでは
有りません。その後も色々な場面場面でお客様との関りは続いて行きますし、
10年前、15年前に取引させて頂いたお客様から、時間を超えて、再度ご相談を頂くなど
しょっちゅう有る事です。
ただし、これは良い面ばかりで有りません。
クレームです。
引渡して数年後に、家の作り等についてのクレームの連絡を頂くことも、良くある話です。
そんな時のアフターフォローをエージェントの属する会社也がしっかりと行って頂ける、
という確約やシステムが有るのでしたら問題は有りませんが、それが薄いようですと、
そこはよく考えた方が宜しいかと思います。
ここは、どういう覚悟の元に「エージェント」という立場で仕事をされているのか。
最初の段階で良く話を聞き、お付き合いしてか行くか否かの判断をされるべきかと思います。