タワマン節税曲がり角?
現在の相続税評価がむしろ低すぎる?
かなり効果的な相続税対策の一つだった「タワーマンション節税」に関し、日経新聞等の報道によりますと、国税庁がマンションの相続税評価額の算定方法の新ルールを設ける見通しであるということが判明しました。施行されればタワマン節税を目論んで相続対策をされていた方々は大幅に見直しを検討する必要が出て来ると思われます。
「マンション」の相続税評価額の新しい計算ルールとは?
まず、タワーマンション(以下「タワマン」)を含むマンションの相続税評価額について、
国税庁により新たに採用される見通しとなった計算ルールですが、
①従来の「相続税評価額」が実勢価格とどれだけ乖離しているか(乖離率)を計算
※ 乖離率の計算式は以下の通り
【乖離率の計算式】 実勢価格÷従来の評価額
②乖離率に応じ、以下のように相続税評価額を計算
【マンションの相続税評価額の計算式】
・乖離率が約1.67倍以上の場合(従来の評価額が実勢価格の60%超の場合):実勢価格×60%
・乖離率が約1.67倍未満の場合(従来の評価額が実勢価格の60%以下の場合):従来の評価額
これは、統計上、「戸建て」の場合の乖離率の平均が「1.66倍」、
つまり評価額が実勢価格の60%程度であることの基準に合わせるという事かと思います。
一戸建てとのバランスも踏まえ、相続税評価額を実勢価格に近付けるものです。
時期について
2024年1月からの施行を目指している模様。つまり、あと半年後という事です。
具体的にどの程度の影響か
現在、価格高騰している都心部(主に港区、渋谷区、中央区等)に多数存在するタワーマンションですが、
相続税評価(土地を路線価、建物を固定資産税評価額)で計算しますと、
何と実勢価格の30%前後。つまり、売れば15,000万円になるタワーマンションを所有していると
現金で15,000万円を持っているよりも相続時評価額が70%オフ。というのが実態でした。
これが、実勢価格の60%を目安に引き上げる、となりますと、200%アップ。単純に倍になります。
その為、複数所有されている方にとっては、かなり厳しい相続対策の転換を検討することになると思われますが、
購入者の中の「相続対策」が消えれば需給バランスで価格は下落へと向かう可能性も有ります。
しばらくは、市況の推移から目が離せなくなりそうです。