税制改正で注目される『相続時精算課税制度』①

まずは制度の概要について

「相続時精算課税制度」の解説の前に、この制度と選択できる「暦年課税制度」について少し解説させて頂きます。

まず、『暦年課税制度』について

まず、生前に相続税対策の為に贈与を行う場合、「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」は選択制となっており、どちらか一方を選択したら、もう生涯変更することはできない制度となっております。

そのうえで、まず「暦年課税制度」ですが、これは毎年110万円までならば家族はもちろん他人に贈与をしても非課税。という制度です。

例えば、相続資産が2億円有るとして、奥様、お子様2人、お孫様4人の計7人に毎年110万円を10年間贈与し続けたとすると、

7人 × 110万円 × 10年 = 7700万円

2億円 ー 7700万円 = 12,300万円 まで相続資産が減らせた。という事になります。

これが「暦年贈与」「暦年課税制度」です。

『相続時精算課税制度』の考え方

次に「相続時精算課税制度」ですが、概要を大まかに申しますと、

「2500万円までの贈与を非課税にするが、贈与をした方が亡くなった時に、贈与した財産の全てを相続財産に組み入れて(持ち戻しと言います。)相続税を計算しますよ。」

というものです。ただし、年齢要件が有り、贈与する側は60歳以上。贈与を受ける側は18歳以上((注)贈与を受ける年の1月1日で18才で有る事)贈与は、子供と孫にもできる事になっています。

具体的に言いますと、

例えば、相続資産が1億円有るとして、長女に2,500万円を贈与したとします。この制度を使うのならば、贈与した時点で贈与税は非課税。贈与税を納める必要は有りません。そして親御さんの手元には7,500万円の相続資産が残りました。

そして、贈与して10年後に贈与した親が亡くなった時、手元資産に加え、生前に贈与していた2,500万円を加えた1億円に対し、相続税が係るという事になるのです。

『相続時精算課税制度』はどんな人が利用すると効果的なのか

これは、端的に申し上げまして「相続税が係るほど資産は無いが、生前に多額のお金を贈与したい状況になった」という方です。

これも具体的に言いますと、

資産が3,000万円の方で、奥様とお子様2人が相続人です。

このような方が、お子様のうちの1人が家を買いたいからと資金援助をお願いして来たとします。500万円ほどの無心をされました。

500万円位なら用立ててやろう。となった時、そのままあげてしまうと贈与税がかかります。

その際に、相続時精算課税制度を利用してこの500万円を贈与すると、まずその時点で贈与税はかかりません。

そして、その後他界された時、相続税の非課税枠は、3,000万円+600万円×相続人の人数=4800万円。

手元の資産2500万円に生前に贈与した500万円を持ち戻しても、計3,000万円。相続税の非課税枠に満たない為、相続税はゼロ。

結果、税金を払わずに上記の計画が成立したことになります。

以上、本制度の概要を解説しました。では、次回は今年4月の改正ポイントについて解説をさせて頂きます。

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