税制改正で注目される『相続時精算課税制度』②
基礎控除が認められるようになりました
前回に続いて、今年4月に改正された「相続時精算課税制度」について、解説させて頂きます。今回は、改正で大きく変わった点についてです。
それは『年間110万円迄の基礎控除』が認められるようになったことです。
具体的に、例を挙げますと、本制度を利用して、毎年250万円を10年間、息子さんに贈与を継続したとします。
これまでですと、贈与税はかかりませんが贈与した金額は全て相続時に相続資産に加えられていましたので、完全な相続税対策というには使い勝手は、あまり宜しく無かったのですが、今回の改正で基礎控除が認められたことで年間110万円迄の贈与分は非課税扱いにできるようになりました。
その為、250万円のうち、110万円が非課税、相続時の持ち戻し不要の為、相続時に清算すべき金額は、
250万円ー110万円 = 140万円
140万円 × 10年 = 1400万円
と、大幅に下がる事になりますので、贈与税対策の意味合いが強った本制度が相続税対策にもなったわけです。
利用時の注意点
複数年に渡って本制度を利用して贈与を行う場合、例えば前述のとおり10年間贈与し続ける場合、確定申告は10年間、必ず毎年必要です。また、2500万円を超えた分については一律20%の贈与税が課せられます。(相続時の相続税とでの相殺は可能)更に1度選んだら、暦年贈与への変更は一切できませんので、始めるときによく検証することは必要かと思います。