認知症になったら家は売れない?

大事なのは『意思能力』です

「独り暮らしの父が認知症になってしまったので老人ホームに入れてあげたい。父の今住んでいる家を売って入所する費用を作りたい。」というご相談の場合、

「では直ぐに売りましょう。」

という訳には参りません。ただし、「だって認知症になったら家は売れないんでしょ。」というのも違います。

ポイントは、不動産ご所有者の方の「意思能力が有るか否か?」という事になります。

意思能力ってどうやって判断するの?医師の証明書とかが要るのですか?という質問を受ける事も有りますが、

正解は

「判断するのは登記する司法書士の先生」です。流れとしては、まず不動産の売却を不動産会社に依頼する時点で、不動産会社の担当者(望ましいのは責任ある立場の人)が意思能力について、どの段階でどこまで固める必要が有るか?それによって関わる人、タイミング等についてスケジューリングを行って参ります。

販売開始時点では「意思能力有り」だったものが、最終的に引き渡しの時点で「意思能力が有るとは言えない。」状態になってしまっていた場合、その取引はいったんそれ以上進めることができなくなってしまいます。その為、不動産売却の担当者は、御所有者様の健康状態を視野に入れ、売却希望価格、必要なお手取りなども加味して、引き渡しまでのスケジュールの立案や販売方法などの提案をして行く必要が有るのです。

また、ご相談を受けた時点でもう完全に意思の疎通ができないときは

「成年後見人の制度利用のご提案。」

全く問題無いが販売活動や引き渡しまでの期間が長い場合は

「家族信託制度利用のご提案」

なども行って参ります。ただし、私が思うのは、やはり事態が急を要するようになってしまう前に、ご本人とご家族が余裕を持ってしっかりと話し合い、関係するご親族の方々が日頃から意思のすり合わせを行っておくことが大事だと思います。

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