査定書の見方、教えます
内容てんこ盛りで逆に分かりづらい?!
家の売却を考えた時、最近では不動産会社1社だけに査定を依頼して、そこに決める。
という方が少なくなってきています。
原因については、一括査定サイトの普及が大きいのではないかと思いますが、
では、実際に何社かから査定書(机上であればメールでの簡易報告の場合も)を受け取った後、
査定書のどこに重点を置いてチェックしてみたら良いのでしょうか?
査定金額が高いところが高く売ってくれるのか?
まず、何といっても査定金額が幾らなのか?ここが最大のご興味の対象かと思います。
では、査定金額が高い会社が一番高く売ってくれる会社なのでしょうか?
答えは『NO』です。
中古車や貴金属類、リフォーム、引越し等の一括査定サイトで出て来る回答は、
『買取価格』『請負金額』です。
金額を提示した会社が、「その金額で責任を持って買い取らせて頂きます。」
「お仕事させて頂きます。」
と約束する金額です。
一方、不動産の査定金額は、「この価格で売りに出せば、買い手が見つかると思いますよ。」
という意見価格、参考価格なので、全く意味合いが違ってきます。
その為、競合他社を退けお客様に選んでいただき、無事に媒介契約に漕ぎつける為には、確実に売れるであろう
金額では無く、『お客様に選んでいただける為の提案価格』を提案してくる会社も現実には存在しますが、
一方で、『査定が高いところに頼んだ方が良いのでは?』と思っておられる方がいる以上、この傾向が
無くなる事は当分ありません。ですので、「査定が高い会社」が「媒介契約に漕ぎつける為の提案価格」
である可能性が見え隠れする会社は、逆に依頼してはいけない会社かと思います。
金額の根拠を良く見てみる
住宅の査定は通常、「取引事例比較法」と言って、近隣の過去の成約事例を基に、夫々の土地の評点を
付けて算出致しますが、その「近隣の成約事例」が①マーケットの親和性の有る妥当なエリアのものか
②古すぎる(今と相場が違っていた時期の)事例を使っていないか③明らかに手抜きの評点付けでは無いか
この3点をチェックしてみてください。「あれ?」と思ったポイントについては、査定書を作ったご本人に加えて
その時に競合している他社さんにも質問してみれば、ある程度納得のいく答えは得られるかと思います。
上記の①~③すべてが適当な査定書も実在しますので、ここはよくチェックしてみてほしいところです。
提案価格が3パターンある場合の見方
最近は、売出提案価格を3パターンで出してくる会社も少なくありません。
①販売開始から概ね3か月以内の成約を見込んだ中心値の価格設定
②長期化の懸念が多分にあるが、まれにあるミラクル価格での成約を目指した高値の価格設定
③1か月以内、もしくは即申し込みが取れる事が見込まれる価格設定。
①についてのチェックポイントは、過去の成約事例と比較して上振れしすぎた設定になっていないか?という点です。ここの根拠が曖昧だったり、なんとなく説得力の無い印象での高値提案だった場合は要注意、売れない価格を承知で持ってきている可能性が有ります。
②について、やはりチャレンジするにしても、何故その価格でも反響が有ったり、内覧希望が出て来る可能性が有るのかの根拠づけが大事です。高すぎれば当然反響は来ませんし、案内も入りません。また、どういう方が、そういった高値でも検討して頂ける可能性が有るのかのプロファイリングについても、担当営業マンにヒアリングをしてみて下さい。何も答えられない、即答できない場合はアウトです。
③は、既に、提案して来た不動産会社に具体的なお客様がいる場合、もしくは買取価格のイメージかと思います。買取価格だった場合、既に建売業者等にヒアリングをかけて裏を取っている場合も有るかと思います。
サービス内容
現在弊社で販売活動をさせて頂いている売主様から、媒介前に、某大手不動産会社から送られてきた査定書を拝見させて頂きました。卒業アルバムかと見紛う程の分厚い立派な厚紙の表紙に、図鑑もしくは高級新築マンションのパンフレット張りの立派な紙と印刷の査定書でした。
ただし、中身は売却に関するサービスのご紹介に重きが置かれ、正直、査定提案の根拠にページが割かれているものでは有りませんでした。
このように、最近では、とにかくサービス内容でお客様に選んで頂こうとする傾向が多分に強まって来ておりますので、肝心の営業マンの考える営業戦略や、物件のどこをアピールポイントとして考えて展開するかの努力などが希薄になっている事が多いように感じます。
サービスが色々あればお得な印象だったり、『オフェンス型サービス』(※6月20日のコラムをご一読ください。)がてんこ盛りですと、何かすぐに売ってくれるような気がしてくるのも分からないでもありません。ただし、よく考えて頂きたいのは、最終的には買主様はお家を見て、リアルの家そのものを見て、そのうえで購入の判断をされる、という事です。
サービスの手厚さ「だけ」を第一に考えて不動産会社を選ぶのも要注意かと思います。
また、以前も書きましたが、ある不動産会社だけが実現可能なオリジナルなサービスというものは、殆どありませんので、気になるサービスが有れば他社でもやれるのかどうかは確認されてみて良ろしいかと思います。